AGA治療薬は医薬品である以上、残念ながら副作用のリスクはゼロではありません。性機能の低下や、頭皮のかゆみ、体調不良など、副作用と思われる症状が現れた時、「こんな思いをしてまで続けるのは辛い」と、治療をやめたくなる気持ちは痛いほど分かります。しかし、ここで絶対にやってはいけないのが、医師に相談せずに自己判断で服用を中止してしまうことです。その行動は、あなたの身体と、これまでの治療を、より深刻なリスクに晒すことになりかねません。まず、その症状が本当に薬による副作用なのかどうかは、専門医でなければ正確に判断できません。例えば、気分の落ち込みを感じたとしても、それは薬の影響ではなく、仕事のストレスやプライベートな悩みが原因かもしれません。性機能の低下も、薬を飲んでいるという心理的な不安(ノセボ効果)が影響している可能性もあります。自己判断で服用をやめてしまうと、本来解決できたはずの問題の原因を、特定する機会を失ってしまいます。そして、もしそれが本当に副作用だったとしても、医師の管理下であれば、安全に対処する方法がいくつもあります。例えば、薬の量を減らす「減薬」や、一時的に服用を休む「休薬」を行い、身体の反応を見ながら再開を検討することができます。あるいは、副作用のプロファイルが異なる、別の種類の治療薬に変更するという選択肢もあります。フィナステリドで副作用が出たなら、デュタステリドやミノキシジル外用薬を中心とした治療に切り替える、といった具合です。しかし、自己判断で急に薬をやめてしまうと、これらの適切な対処が行えないばかりか、身体がホルモンバランスの急激な変化に対応できず、かえって体調を崩してしまう可能性すらあります。副作用は、我慢するものでも、逃げ出すものでもありません。それは、医師という専門家と共有し、共に解決策を探っていくべき「サイン」なのです。辛い時こそ、まずは処方医に電話一本、連絡を入れる勇気が、あなたを守ることに繋がります。
副作用が辛くてやめたい?自己判断が招く最悪の事態