若い頃の私は、ドライヤーに対して全く無頓着でした。夜遅くに帰宅し、とにかく一刻も早く眠りたい一心で、ドライヤーの温度設定は常に最強の「ターボ」、吹き出し口を髪に押し付けるようにして、乱暴に髪を乾かすのが日常でした。熱いと感じることもありましたが、その方が早く乾くのだから仕方がないとさえ思っていました。そんな生活を続けていた三十代半ば、ふと気づくと、明らかに髪質が変わっていました。髪はパサパサでツヤがなく、切れ毛や枝毛が目立ち、そして何より、シャンプーの時の抜け毛の量が格段に増えていたのです。洗面台の排水溝にたまる自分の髪の毛を見るたびに、言いようのない不安と焦りを感じました。最初は年齢のせいだと諦めかけていましたが、ある時、行きつけの美容師さんに相談したところ、開口一番に「ドライヤーの使い方、見直してみませんか」と言われたのです。プロの視点から、私の髪が典型的な熱ダメージを受けていること、そして間違ったドライヤー習慣が頭皮環境まで悪化させている可能性を指摘されました。その日から、私は美容師さんに教わった通り、ドライヤーの使い方を百八十度変える決意をしました。タオルドライを丁寧に、ドライヤーは頭から二十センチ離し、常に振りながら、そして温風の後は必ず冷風で仕上げる。最初は面倒に感じましたが、続けていくうちに、髪は驚くほど素直に変わっていきました。一ヶ月もすると、まず指通りが滑らかになり、パサつきが収まってきました。三ヶ月が経つ頃には、髪に自然なツヤが戻り、そしてあれほど悩んでいた抜け毛が、明らかに減っていることに気づいたのです。この経験を通じて、私は日々の小さな習慣が、いかに髪の健康を左右するかを痛感しました。ドライヤーは髪を傷める道具ではなく、正しく使えば髪を守り育てるための大切なパートナーなのだと、今では心からそう思っています。
私がドライヤーの使い方を変えた理由