ドライヤーの熱を避けたい一心で、洗髪後はタオルで拭くだけの自然乾燥にしている、という方は意外と多いのではないでしょうか。一見、髪に優しそうなこの習慣ですが、実は薄毛を気にする人にとっては、かえって頭皮環境を悪化させるリスクをはらんでいます。髪が濡れた状態の頭皮は、温度と湿度が高まり、雑菌が繁殖するのに最適な環境となります。特に、マラセチア菌などの常在菌が異常繁殖すると、頭皮の炎症を引き起こし、かゆみやフケ、さらには脂漏性皮膚炎といったトラブルの原因となり、抜け毛を助長することにもなりかねません。また、髪が濡れたまま長時間過ごすと、頭皮の温度が気化熱によって奪われ、冷えてしまいます。頭皮の冷えは、血行不良の直接的な原因です。髪の毛は、毛根にある毛母細胞が毛細血管から栄養を受け取って成長しますが、血行が悪くなると、この栄養供給が滞ってしまいます。その結果、髪が十分に成長できずに細くなったり、ヘアサイクルが乱れて抜けやすくなったりするのです。さらに、髪の毛自体のダメージも見過ごせません。髪の表面はキューティクルといううろこ状の組織で覆われており、濡れている時はこのキューティクルが開いた無防備な状態です。この状態で枕に擦れたり、ブラッシングしたりすると、キューティクルが剥がれたり傷ついたりして、髪の内部の水分やタンパク質が流出し、パサつきや切れ毛の原因となります。これらのリスクを考えれば、ドライヤーを使って短時間で頭皮と髪を乾かすことが、いかに衛生的で合理的であるかが分かります。熱ダメージを恐れるあまり、より大きなリスクを招かないよう、正しい知識を持つことが大切です。