「この治療は、一体いつまで続ければいいんだろう?」AGA治療を続けていると、ふとそんな疑問が頭をよぎることがあります。AGAは完治しない疾患である以上、理論上は薬を飲み続ける必要があります。しかし、それは「一生、今のままの治療を続けなければならない」ということとイコールではありません。治療には、患者さん一人ひとりが納得できる「ゴール」を設定し、それに向かって医師と相談しながら、治療の強度を調整していくという考え方があるのです。AGA治療のゴール、すなわち「やめどき」は、患者さん自身が「現在の髪の状態に満足した」と感じた時点が、一つの目安となります。例えば、治療によって薄毛が十分に改善し、人の目が気にならなくなり、自信を持って生活できるようになった。この状態を維持できれば良い、と本人が納得できた時、それは治療のフェーズが変わるタイミングです。ここで重要なのは、自己判断で完全に治療をやめてしまうのではなく、「維持療法」へと移行することを医師と相談することです。維持療法とは、これまでの治療で得られた効果を、できるだけ少ない負担でキープしていくためのアプローチです。具体的には、毎日服用していた薬の量を、医師の管理のもとで少しずつ減らしていく「減薬」を試みたり、2日に1回の服用にするなど、服用間隔を調整したりする方法があります。あるいは、より強力なデュタステリドから、フィナステリドのジェネリックに変更して、コストと身体への負担を軽減するという選択肢も考えられます。もちろん、減薬や休薬によって、再び薄毛が進行し始めるリスクは常にあります。その場合は、また元の治療法に戻す必要があります。AGA治療における「やめどき」とは、終わりを意味するのではありません。それは、攻めの治療から、守りの治療へ、そして維持の治療へと、自分の状態や満足度に合わせて、医師と共に治療の形を柔軟に変えていく、新しいステージの始まりなのです。
AGA治療のゴールはどこ?やめどきを医師と相談する