夕方になると額が脂でテカテカになり、朝セットした髪がベタついて束になってしまうような脂性肌、いわゆるオイリースキンに悩む男性は多いですが、この脂っぽさとAGAの間には密接かつ厄介な因果関係が存在しており、正しい理解なしに対策を講じることは逆効果にもなりかねません。一般的に「脂が毛穴に詰まるからハゲる」と信じられていますが、これは正確ではなく、実はAGAの原因ホルモンであるジヒドロテストステロンが、髪の成長を抑制すると同時に皮脂腺を強力に刺激して皮脂分泌を促進させるという「一人二役」の悪さを働いていることが根本的な理由です。つまり、脂っぽいからハゲるのではなく、ハゲる原因があるから脂っぽくなるというのが医学的に正しい順序であり、脂性肌はAGAの随伴症状の一つと言っても過言ではありません。しかし、過剰に分泌された皮脂を放置しておくと、それが二次的な薄毛の原因となることもまた事実です。頭皮に存在するマラセチア菌などの常在菌は皮脂を餌にして増殖し、皮脂を分解して遊離脂肪酸という物質を作り出しますが、これが酸化されると過酸化脂質へと変化し、頭皮に強い刺激を与えて炎症を引き起こします。この炎症反応が毛根周辺で慢性化すると、毛母細胞の働きが阻害され、ただでさえAGAで弱っている髪の寿命をさらに縮めてしまうことになるのです。だからといって、皮脂を敵視して洗浄力の強すぎるシャンプーで根こそぎ洗い流そうとするのは最悪の手であり、皮膚は皮脂膜というバリアを失うと防御反応としてさらに過剰な皮脂を分泌しようとするため、かえって脂っぽさが悪化するインナードライ状態を招いてしまいます。脂性肌のAGA患者に必要なのは、皮脂を取り去ることではなくコントロールすることであり、適度な洗浄力のアミノ酸系シャンプーを選び、ビタミンB群を意識した食事で内側から脂質の代謝を促し、睡眠不足やストレスによるホルモンバランスの乱れを整えるという全方位的なアプローチです。また、AGA治療薬を使用することでジヒドロテストステロンの生成が抑制されれば、結果として皮脂の分泌も落ち着いてくるケースが多く見られるため、根本治療と対症療法を並行して行うことが、サラサラで健康な頭皮と髪を取り戻すための唯一の正解なのです。