高額な費用をかけて注入治療を受ける以上、「いつになったら生えるのか」という効果発現の時期は誰しもが気になるところですが、注入治療は即効性が高いと言われているものの、翌日にフサフサになるわけではありません。あくまでヘアサイクルという生理現象に基づいた治療であるため、効果を実感するまでにはある程度の時間が必要です。一般的には、治療開始から1ヶ月から2ヶ月目で「初期脱毛」と呼ばれる一時的な抜け毛の増加が見られることがありますが、これは古い弱い髪が新しい強い髪に押し出されて抜ける現象であり、薬が効いている証拠ですので慌てる必要はありません。そして3ヶ月から4ヶ月が経過する頃になると、多くの患者が「抜け毛が明らかに減った」「生え際に産毛が生えてきた」「髪にコシが出てきた」といった初期の変化を感じ始めます。この時期はマイクロスコープで見ると毛穴から新しい毛が顔を出しているのが確認でき、治療へのモチベーションが最も上がる時期でもあります。さらに半年(6ヶ月)が経過すると、産毛が太く長く成長し、地肌の透け感が改善され、他人から見ても「髪が増えた」と分かるレベルまで変化することが期待できます。最終的な治療効果の判定は、1クール終了時点(多くは半年から1年後)で行われますが、注入治療を受けた人の多くは内服薬単独の治療よりも早い段階で満足のいく結果を得ており、特に「早く見た目を変えたい」というニーズに対しては非常に有効な手段と言えます。ただし、効果には個人差があり、年齢や薄毛の進行度、生活習慣によってもスピードは異なるため、焦らずにじっくりと腰を据えて治療に取り組む姿勢が大切です。医師と二人三脚で経過を観察し、小さな変化を喜びながらゴールを目指しましょう。AGA治療の最前線において、今最も注目を集めているのが「幹細胞培養上清液(かんさいぼうばいようじょうせいえき)」を使用した注入治療です。これは、再生医療の中核を担う幹細胞(脂肪由来、歯髄由来、臍帯血由来など)を培養した際に生じる上澄み液のことで、この液体の中には幹細胞から分泌された数百種類ものサイトカインや成長因子、そしてエクソソームと呼ばれる情報伝達物質が凝縮されています。従来の成長因子注入療法が特定の数種類の因子をブレンドしていたのに対し、幹細胞培養上清液には未知の成分も含めた多種多様な有効成分が自然なバランスで含まれており、これらが複雑に連携して損傷した組織を修復し、老化して機能不全に陥った毛母細胞を若返らせる効果が期待されています。いわば、細胞レベルでの「若返り薬」を頭皮に注入するようなもので、単に髪を生やすだけでなく、頭皮の血管を再生したり、抗炎症作用によって頭皮環境を改善したりと、根本的な組織再生を促す点が画期的です。
注入治療の効果を実感できるまでの期間